ステッピングモーター入門:構造、動作原理、応用技術を徹底解説

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ステッピングモーターは、その高い精度と信頼性で、現代の自動化技術において不可欠な要素です。

工業ロボット、精密機械加工、医療機器など、多岐にわたる分野で利用されており、複雑な動作を繰り返し正確に実行するための鍵となっています。

本記事では、ステッピングモーターの基本構造から始まり、その動作原理、主要な特性、そしてさまざまなタイプのステッピングモーターについて詳しく解説し、更に応用技術であるマイクロステッピングについて解説します。

ステッピングモーターの概要

構成と仕組み

固定子と回転子

ステッピングモーターは、二つの主要部品で構成されています。

  • 固定子(ステータ)
    固定子はモーターの外側に位置し、複数のコイルが配置されています。これらのコイルには順番に電流が流され、磁場が生成されます。
  • 回転子(ロータ)
    回転子は中心に位置し、固定子によって生成される磁場の影響を受けて回転します。

特徴

  • 精度:
    ステップごとの移動は非常に正確で、再現性が高いです。
  • 簡単な制御:
    デジタル信号による制御が可能で、複雑なフィードバックシステムが不要です。
  • 保持トルク:
    電源がオフの状態でも、残留磁気による一定のトルクで位置を保持することができます。

ステッピングモーターの種類

分類1:2相、3相、5相

2相、3相、5相とは、固定子にあるコイルのグループ数を指します。

2相と3相の動き

ステッピングモーターは、固定子のコイルに電流を流すことで磁力を発生させ、回転子の歯を引き寄せます。

電流を流すコイルグループ(相)を切り替えることで時計のように一定の角度ずつ動いて回転します。

コイルグループ(相)が増えるほど、ステップ角が小さくなり、位置決め精度が向上します。一方で、コイルを制御するための回路が複雑になり、コストも上がります。

分類2:バイポーラ型、ユニポーラ型

バイポーラ型とユニポーラ型は、コイルに電流を流す方向(双方向か単方向か)に基づく分類です。

<バイポーラ型>

バイポーラ型の動き

コイルに1本の巻線が設けられ、その巻線に双方向に電流を流す駆動方式です。電流を流す方向を切り替えることで、コイルの極性を変更します。

電流の向きを変える必要があるため、回路が複雑になります。

<ユニポーラ型>

ユニポーラ型の動き

コイルに2本の巻線が設けられ、それぞれ単方向に電流を流す駆動方式です。電流を流す巻線を切り替えることで、コイルの極性を変更します。

電流を流す巻線はスイッチングで切り替えられるため、バイポーラ型よりも回路が単純で制御が容易です。しかし、各コイルで使用できる巻線の長さが半分になるため、バイポーラ型に比べて出力トルクが低下します。

分類3:PM型、VR型、HB型

PM型、VR型、HB型は、主に回転子の構造に基づく分類です。

<PM(Permanent Magnet)型>

PM型の動き

回転子に永久磁石を使用しており、固定子のコイルで磁場が生成されると、その磁場が永久磁石に作用して回転子を動かします。

<VR(Variable Reluctance)型>

VR型の動き

VR型は、回転子に磁石を使用せず、代わりに鉄の歯がついた回転子を使用しています。

固定子のコイルで磁場が生成されると、回転子の歯が引き寄せられて回転します。

<HB(Hybrid)型>

HB型の構成
引用元:日本パルスモーター株式会社

HB型は、PM型とVR型の特徴を組み合わせたもので、回転子には永久磁石と鉄の歯が使用されています。

これにより、高いトルクと精密な制御が可能になります。

マイクロステッピングによる精密制御

マイクロステッピングは、ステッピングモーターをさらに精密に制御するための手法です。

通常のステッピングモーターは、コイルへの電流供給のON/OFFのみを制御するため、大きなステップで回転します。

一方、マイクロステッピングの場合、PWM制御などによりコイルに流す電流量を調整することができます。これにより、ステッピングモーターを、より細かい角度で制御することができます。

マイクロステッピングは、モーターにかかる機械的な負担を軽減できるメリットもありますが、この技術を最大限に活用するためには、高品質のドライバーと正確な電流制御が必要です。

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