【樹脂の基礎】樹脂成形の種類、成形方法、用途をわかりやすく解説

樹脂の基礎
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樹脂成形とは何か?

樹脂成形は、樹脂を使用して製品や部品を製造するプロセスです。これには様々な技術があり、用途に応じて適切な方法が選ばれます。

樹脂成形の方法には、射出成形、押出成形、ブロー成形、圧縮成形などがあり、それぞれに特有の特徴と利点があります。

熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の違い

熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂は、加熱と冷却による物理的性質の変化が異なります。

熱可塑性樹脂は加熱すると軟化し、冷却すると固まる性質を持っており、繰り返し加熱と冷却が可能です。

一方、熱硬化性樹脂は一度加熱により硬化すると、その形状を保持し再び軟化することはありません。これは、加熱時に化学反応によりネットワーク状の構造が形成されるためです。

樹脂成形の主要な種類と用途

射出成形(インジェクション)

射出成形(インジェクション)は、最も一般的な樹脂の成形方法で、主に熱可塑性樹脂の成形に使われます。

溶かした樹脂を金型に射出し、冷却することで、金型の形状に沿った樹脂製品を作ります。

肉厚の薄いものや複雑な形状など、様々な樹脂製品を高速に成形できるため、多くの樹脂製品で使われる成形方法です。

  1. 樹脂の投入
    原料である樹脂を投入口(ホッパー)に投入します。
    射出成形工程_樹脂の投入
  2. 樹脂の融解
    成形機内のヒーターで樹脂を加熱して溶かします。
  3. 樹脂の移送と計量
    スクリューを回転させ、溶けた樹脂を前方に送ります。この時、スクリューは回転と共に後方へ下がり、事前に設定したスクリュー位置で停止(計量)します。
    射出成形工程_樹脂の移送と計量
  4. 樹脂の射出
    スクリューを前方に押し込み、金型内に樹脂を射出します。
    射出成形工程_樹脂の射出
  5. 樹脂の冷却
    金型を冷却することで、充填された樹脂を固化させます。
  6. 離型
    金型を開き、成形品を取り出します。金型の分割面(PL部)や射出口から溢れた余分な樹脂を除去して完成です。
    射出成形工程_離型

圧縮成形(コンプレッション)

圧縮成形(コンプレッション)は、熱硬化性樹脂の「加熱により固化する性質」を利用した成形方法です。

まず樹脂を金型に配置します。その後、金型を閉じて樹脂を加熱しながら圧力をかけることで、樹脂は金型の形にしっかりと固まります。

圧縮成形は特にゴム製品の製造で使用されます。また、樹脂を圧縮することにより製品は高い機械的強度を持つため、自動車部品やプラスチック製の食器など、耐久性が求められる製品の製造にも利用されます。

  1. 樹脂の計量
    原料である樹脂を製品重量より少し多めに計量する。
  2. 樹脂の設置
    金型の下部(凹部)に樹脂を設置します。
    圧縮成形工程_樹脂の設置
  3. 樹脂の加熱と加圧
    金型金型を閉じ、加熱と圧力をかけて樹脂を金型の形に圧縮します。熱と圧力により樹脂の温度が上昇し、硬化温度に達すると固まります。
    圧縮成形工程_樹脂の圧縮
  4. 樹脂の冷却
    樹脂および金型を冷却し、樹脂製品を取り出しやすくします。
  5. 離型・後処理
    金型を開き、成形品を取り出します。金型の分割面(PL部)から溢れた余分な樹脂を除去して完成です。
    圧縮成形工程_離型

押出成形

押出成形は、溶かした樹脂を押出口からトコロテンのように連続的に押し出す成形方法で、主に熱可塑性樹脂の成形に使われます。

チューブやパイプなど、同一断面形状で長さのある製品の成形に利用されます。樹脂製品だけでなく、金属製品の成形にも利用される成形方法です。

  1. 樹脂の投入
    原料である樹脂を投入口(ホッパー)に投入します。
    押出成形工程_樹脂の投入
  2. 樹脂の融解
    成形機内のヒーターで樹脂を加熱して溶かします。
  3. 樹脂の押出
    連続的に回転するスクリューにより、溶けた樹脂を金型(ダイ)から押し出します。
    押出成形工程_樹脂の押出
  4. 樹脂の冷却
    押し出された樹脂は、冷却金型(サイジングダイ)で押出形状を維持しつつ冷やされ、その後の冷却槽で本格的に冷却されて固化します。
    押出成形工程_樹脂の冷却
  5. 樹脂製品の切断
    固化した樹脂製品は引取機で引っ張られ、切断機で一定の長さにカットされます。
    押出成形工程_樹脂製品の切断

ブロー成形

ブロー成形は、押出成形で作られた樹脂のチューブ(パリソン)を金型で挟みます。その後、金型内に空気を高圧で吹き込むことによって、パリソンを金型の内壁に押し付け、金型の形に沿って樹脂を膨らませて成形します。

ブロー成形は、中空構造の樹脂製品の成形方法として、ペットボトルや液体洗剤の容器だけでなく、医療用容器や自動車の燃料タンクなど多岐にわたる製品の製造に使われています。

  1. 樹脂の投入
    原料である樹脂を投入口(ホッパー)に投入します。
  2. 樹脂の融解
    成形機内のヒーターで樹脂を加熱して溶かします。
  3. 樹脂の押出
    連続的に回転するスクリューにより、溶けた樹脂を金型(ダイ)から押し出します。
    ブロー成形工程_樹脂の押出
  4. 樹脂の挟み込み
    押し出されたチューブ状の樹脂(パリソン)を金型で挟みます。
    ブロー成形工程_樹脂の挟み込み
  5. 空気の吹き込み
    金型内に空気を高圧で吹き込み、樹脂を膨らませます。
    ブロー成形工程_空気の吹き込み
  6. 樹脂の冷却
    樹脂および金型を冷却し、樹脂製品を取り出しやすくします。
  7. 離型
    金型を開き、成形品を取り出します。
    ブロー成形工程_離型

おわりに

樹脂成形の基礎知識から各成形方法の特徴、用途に至るまで詳しく解説しました。

樹脂成形技術は、多くの産業で広く利用されており、製品の設計や機能に欠かせない要素です。

本記事が皆様の知識の一助となり、何かの役に立てれば幸いです。次回の記事もどうぞご期待ください。

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