【樹脂の基礎】射出成形のゲートの種類と特徴を徹底解説

樹脂の基礎
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射出成形とは何か?

射出成形(インジェクション)は、最も一般的な樹脂の成形方法で、主に熱可塑性樹脂の成形に使われます。

溶かした樹脂を金型に射出し、冷却することで、金型の形状に沿った樹脂製品を作ります。

肉厚の薄いものや複雑な形状など、様々な樹脂製品を高速に成形できるため、多くの樹脂製品で使われる成形方法です。

スプルー、ランナー、ゲートとは何か?

先ほどご説明した通り、射出成形は溶かした樹脂を金型内部にに射出することで目的の形状を成形します。

この射出口から金型までの流路を詳細に見ると以下のようになります。

  • スプルー
    スプルーは、ノズルから射出された樹脂が最初に流れる流路です。主に円筒形状であり、樹脂をランナーまで運びます。
  • ランナー
    ランナーは、スプルーを流れてきた樹脂を単一または複数のキャビティ(製品形状を形成する金型の空洞部)へ分配する流路です。ランナーの形状や配置は樹脂の均一な流れや圧力損失の最小化、成形品の一貫した品質確保のために重要です。
  • ゲート
    ゲートは、キャビティへの入口です。ゲートは樹脂の流れる速度が重要であり、速すぎるとジェッティング、遅すぎるとフローマークという成形不良の原因になります。

ゲートの形状は様々で、成形品の形状に応じて適切なゲートが選択されます。

それでは、ゲートの種類について詳しくみていきましょう。

主要なゲートの種類と特徴

サイドゲート

サイドゲート
サイドゲート(2キャビティ)

サイドゲートは成形品の側面に設置されるゲートで、射出成形で最も一般的に使用されるタイプです。

このゲートは、設計が比較的簡単で、複数のキャビティに対して樹脂を均等に分配しやすいため、大量生産に適しています。

ただし、成形品はゲート(およびランナー、スプルー)が付いた状態で取り出されるため、ゲート部分をカットする後加工が必要です。このため、ゲート跡が成形品に残りやすく、外観が重要な製品には適していない場合があります。

ピンゲート

ピンゲート

ピンゲートは、成形品の正面から樹脂を流すゲートです。

ゲートサイズは非常に狭く、円形で、樹脂をキャビティへ高速で流入させることが可能です。面の広い部品を成形する際には、複数のゲートを設けることもあります。

ピンゲートはスリープレート構造の金型で使用され、型開き時に自動的にゲートがカットされます。これは大きな利点の一つです。

ただし、ゲートサイズが小さいため、高粘度の樹脂の流れが悪くなりがちです。また、成形品の正面に位置することから、ゲート跡が目立つのもデメリットです。

トンネルゲート(サブマリンゲート)

トンネルゲート

トンネルゲート(サブマリンゲート)は、ランナーから成形品に向かって斜めに繋がるゲートです。

トンネルゲートは、成形品の側面にゲートを設けることが可能なため、完成したゲート跡が目立たない製品を作ることができます。

ピンゲート同様、型開き時にゲートが自動的にカットされるため、後処理の手間も減少します。

ダイレクトゲート

ダイレクトゲート

ダイレクトゲートは、スプルーやランナーを通らずに、成形機のノズルから直接金型のキャビティに樹脂を射出するゲート方式です。

スプルーやランナーがなく、ノズルからキャビティまでの流路が短いため、流れる樹脂の量を減らすことができます。また、ゲート部の断面積が大きいため、充填圧力が低くて済むという利点もあります。

一方、ゲート跡が大きく目立つため、見た目が重要な部品には不向きであるというデメリットもあります。

ゲートの特徴まとめ

種類長所短所
サイド①金型構造が単純でコストが低い
②複数個取りに対応可能
③意匠面を避けた箇所(製品の側面)にゲート跡を残せる
④ゲート口が比較的大きく、樹脂の流れがスムーズ(圧力損失が少ない)
①後工程でゲートカットが必要
②ゲート跡が比較的大きく、目立つ
ピン①複数個取りに対応可能
②ゲートが小さいため、小型部品も生産可能
③ゲートを複数設置できるため、面が広い製品や形状が複雑な製品も高品質で生産可能
④3プレート構造のため型開き時に自動でゲートカットされる
⑤ゲート跡が小さく、目立ちにくい
①金型構造が複雑でコストが高い
②意匠面(製品の正面)にゲート跡が残る
③ランナーが長いため、材料の使用量が多い
④ゲート口が小さく、樹脂の流れが悪い(圧力損失が大きい
トンネル①型開き時に自動でゲートカットされる
②意匠面を避けた箇所(製品の側面)にゲート跡を残せる
③ゲート跡が小さく、目立たない
①金型構造が複雑でコストが高い
②複数個取りに対応しにくい
③ゲート口が小さく、樹脂の流れが悪い(圧力損失が大きい)
ダイレクト①ランナーがないため、材料の使用量が少ない
②ゲート口が大きく、樹脂の流れがスムーズ(圧力損失が少ない)
①一個取りにしか対応できない
②後工程でゲートカットが必要
③ゲート跡が大きく、目立つ

おわりに

本記事では、射出成形のゲートの種類とそれぞれの特徴をご説明しました。

ゲートの選択は製品の品質と生産効率に大きく影響を与えるため、設計段階での正しい選択が不可欠です。

各ゲートタイプの利点と制約を理解し、それを自身のプロジェクトや製品設計に活かしていただければと思います。

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