レーザーの基礎:仕組み・特徴・種類をわかりやすく解説

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レーザーとは?

レーザーとは、「Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation」の頭字語であり、日本語で「誘導放出による光増幅放射」を意味します。

まず最初にレーザーの仕組みと特徴をご紹介します。

レーザーの仕組み

エネルギーが低い基底状態にある原子は、外部からエネルギーを吸収すると、エネルギーが高い励起状態になります。

励起状態は不安定な状態であり、原子はすぐに基底状態へ戻ります。このとき、エネルギー差に相当する光を放出(自然放出)します。

基底状態と励起状態の遷移
出典元:福﨑技術士事務所|金属材料基礎講座-177

自然放出された光が同じく励起状態にある原子に衝突すると、その光に誘導されて原子は基底状態に戻り、そのときに光を放出(誘導放出)します。

誘導放出される光は、衝突した光と波長・位相・進行方向がまったく同じになります。つまり、同じ性質を持つ光が倍に増えるということです。

この誘導放出が連鎖することで、レーザーは同じ波長・位相・進行方向を持つ強い光を放出します。

レーザー光の特徴

自然放出である一般的な光と違い、レーザーは同じ波長・位相・進行方向の光を放出します。

これにより、レーザーは以下のような性質を持ちます。

  • 単色性:
    同じ波長(厳密には非常に狭い波長範囲)の光を放出するため、特定の色を持ちます。
  • 高い指向性:
    光の広がりが少なく、光は真っ直ぐ進みます。
  • 可干渉性(コヒーレンス):
    波長・位相・進行方向が揃っており、光の干渉が生じやすい性質を持ちます。

これらの性質により、レーザーは高精度な加工や計測、通信などの分野で広く活用されています。

レーザー発振器の基本構造

レーザー発振器の基本構造
出典元:ケイエルブイ株式会社|KLV大学 レーザーコース

レーザー発振器は、励起源・レーザー媒質、光共振器(ミラー)で構成されます。

レーザー発振器では、励起源から供給されたエネルギーによって、レーザー媒質内の原子が励起状態になります。

その後、自然放出された光が他の励起原子と相互作用し、誘導放出を引き起こします。

誘導放出による光は波長・位相・進行方向が揃っており、光共振器(ミラー)の間を往復しながら増幅されます。十分に増幅された光の一部が半透過ミラーを通り、レーザー光として放出されます。

レーザーの種類と特徴

波長による分類

光の波長
出典元:ケイエルブイ株式会社|光の「波長」とは

光(電磁波)は波長によって、γ線・X線・紫外線・可視光線・赤外線・電波に大別されます。

  • γ線(0.01nm以下):
    最も波長が短く、高いエネルギーを持つ電磁波です。放射性物質の崩壊や核反応によって発生し、医療の放射線治療や非破壊検査に利用されます。
  • X線(0.01〜10nm):
    γ線よりも波長がやや長く、透過性が高い電磁波です。医療分野ではレントゲン撮影に用いられ、工業分野では金属内部の検査などにも活用されます。
  • 紫外線(10〜400nm):
    可視光よりも短い波長を持ち、エネルギーが高い電磁波です。殺菌・消毒、光硬化樹脂の硬化、ブラックライトなどに利用される一方、長時間浴びると皮膚にダメージを与えるため注意が必要です。
  • 可視光線(400〜780nm):
    人間の目に見える範囲の光で、波長の違いによって色が変わります。一般的な照明やディスプレイ、光通信など幅広い用途で使われています。
  • 赤外線(780nm〜1mm):
    可視光よりも長い波長を持ち、熱を伝える性質があります。リモコンの通信、暗視カメラ、温度測定、赤外線ヒーターなどで利用されます。
  • 電波(1mm以上):
    最も波長が長く、エネルギーが低い電磁波です。ラジオやテレビ放送、携帯電話、Wi-Fiなどの通信技術に幅広く活用されています。

媒質による分類

レーザーは媒質によって固体・気体・半導体に分類され、それぞれに特有の特性と用途があります。

固体レーザーは高出力、気体レーザーは高い単色性、半導体レーザーは小型・低消費電力が特徴です。

固体レーザー

固体レーザーは、固体の結晶やガラスを媒質として使用するレーザーで、小型で高出力なのが特徴です。

固体媒質は原子・イオンの密度が高く、励起されたエネルギーを蓄えやすいため、高いエネルギーを一度に放出することができます。

これにより、レーザー光を短い時間ごとに区切って発振させる「パルス発振」が可能で、一瞬で高いエネルギーを出力できます。

ただし、発振時に熱が発生しやすいため、冷却対策が求められます。

固体レーザーは、これらの特性を活かし、レーザー加工機による微細加工や、レーザー手術などの医療用途に広く利用されています。

気体レーザー

気体レーザーは、気体を媒質として使用するレーザーで、単色性と安定した出力が特徴です。

固体媒質は複数の原子が密集しており、原子同士が相互作用するため、エネルギー準位に幅が生じます。その結果、発光する光の波長幅が広がります。

一方、気体媒質は原子が独立しているため、特定のエネルギー準位のみを持ちます。そのため、放出される光の波長幅が狭く、単色性に優れています。

また、不純物や結晶構造のムラがないため、散乱や吸収によるエネルギー損失が少なく、効率的に光を増幅でき、安定した出力が得られます。

気体レーザーは、単色性が高いため、特定の組織だけに作用するレーザー治療や、ノイズの少ない高精度な測定など、さまざまな分野で活用されています。

半導体レーザー

半導体レーザー(レーザーダイオード)は、半導体を媒質として使用するレーザーで、小型・軽量かつ低消費電力で動作するのが特徴です。

レーザーの発振原理は他のレーザーと異なり、電流を直接流すことで発振します。

半導体レーザーの構造
出典元:ファイバーラボ株式会社|半導体レーザの仕組みとは

電流が流れると、N型クラッド層からは電子 、P型クラッド層からは正孔(ホール)が、活性層に流れ込みます。

活性層で電子と正孔(ホール)が結合する際に光が放出され、それが増幅されてレーザー光となります。

電流を直接流すことで発振できるため、高速な変調が可能であり、光通信やレーザーポインター、バーコードリーダーなど幅広い用途に利用されています。また、他のレーザーと比べて製造コストが低く、大量生産が容易であることも利点の一つです。

ただし、温度変化による性能の変動が大きい点には注意が必要です。

例えば、高温時にはバンドギャップ(半導体を導電状態にするのに必要なエネルギー)が小さくなり、レーザーの出力エネルギーが低下します。また、エネルギーと波長の関係(E=hc/λ)から、放出される光の波長が長くなります。

安定した出力を得るには、冷却や温度管理が重要になります。そのため、多くの半導体レーザーには、レーザー出力や温度を計測し、フィードバック制御を行うモニタリング機能が搭載されています。

おわりに

レーザーは私たちの身の回りのさまざまな場面で活用されており、産業・医療・通信・エンターテインメントなど幅広い分野で重要な役割を果たしています。本記事では、レーザーの基本的な仕組みや特徴、代表的な種類について解説しました。

レーザー技術の発展により、より高精度で効率的な加工や測定が可能になり、今後もさまざまな分野での活用が期待されています。新たに機械設計や製造業に携わる方にとって、レーザーの基礎を理解することは、実務においても役立つ知識となるでしょう。

今後も技術の進化とともに、レーザーの応用範囲はさらに広がると考えられます。本記事が、レーザー技術への理解を深める一助となれば幸いです。

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